LOST MUSIC〜消えない残像〜



一年ぶりのステージの上。


客席から沸き起こる歓声の波。


やっぱり体は忘れてなどいない。


熱い血が体中を駆け巡る。


ステージの真ん中に立ち、背中には信用できるこいつらを背負って、俺等の音を届ける。


俺の心が待ち侘びた場所だ。


さあ、届けよう、俺等だけの、俺等にしかできない音楽を――。


もう一度、空を仰ぐ。


突き抜ける真っ青な空を。


星羅、聞いててくれよ――。


俺は大きく息を吸って、雅臣のカウントに耳を傾ける。


そして、大切に第一音を奏で始めた。