玄関のポーチに立て掛けられた、懐かしい形。 闇空の下、風に吹かれる黒いカバーに包まれた紛れもない俺のギター……。 足は衝動的に動いて、腕は必死にギターを抱き締めた。 いつから置かれていたのかそれはひんやり冷たくて、あの日の星羅が脳裏を過る。 もう絶対何も失いたくない。 もう、守れないのは嫌だ……。 強く心が叫び、タイルの上に膝をついて、ただただ胸に抱く。 二度と弾いてやれないのに、このギターが大事なんだ――。 胸は張り裂けそうに痛くて、カバーの上には溶けるように雫が染みていった。