LOST MUSIC〜消えない残像〜



俺のワイシャツを引き契らんばかりにしめあげる手。


ナイフのように鋭く、憎悪をぶつける敵意の目。


むき出しになった雅臣の怒りが容赦なく、矢となって投げつけられる。


……何でこんなに感情を押し付けられんだよ……。


きっと他人の気持ちなんて考えたこともないんだ。


雅臣は昔からいつもそうだ――。


「……おい、ふざけんなよ。何も分かってないくせに!」


俺はもう我慢できなかった。


一瞬にして心に蓄積された想いが弾け飛ぶ。


俺も負けずに雅臣を睨み返して、感情のままに掴み掛かった。