LOST MUSIC〜消えない残像〜



「情けなくて……悪かったな……」


俺は擦れた声を発しながら、苦い想いをぶつけるようにソファーの革に爪をたてた。


革にはくっきり爪の跡がつきそうなほど食い込ませ、奥歯をきつく噛み締める――。


「でもな、雅臣には分かんねぇよ……。誰しも、雅臣みたいに強くない」


ドロドロに渦巻く悔しさを俺は必死に押し殺していた。


その刹那、思い切り胸ぐらを掴まれ釣り上げられるように立たされた俺。


「自分のこと可哀相とか思ってんじゃねぇぞ!!お前なんかがそこに座んな!!」


雅臣の怒りに震える怒鳴り声が響き渡った――。