「よかった――」 どこまでも優しい響きを持つ智也の声が、夏の終わりの風に舞う――。 「やっぱり千秋には元気な笑顔が一番だ」 智也はどれだけお人好しなんだろう……。 どいつもこいつも自分の損得を考える中で、こんなにも他人の幸せを願える奴はきっといない。 本当に智也は、何よりも千秋を大切に思ってるんだ。 だって、智也の笑顔は、優しく降り注ぐ太陽みたいだったから――。 だから、俺にも伝わってくる。 智也の持つ、優しさという名の強さが――。 そして、これこそ本当の強さだと思った……。