LOST MUSIC〜消えない残像〜



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雨音が耳にこびり付き、眠りにつけない俺はソファーからむくりと身を起こす。


リビングのソファーなんかでまともに眠れるわけがない。


俺は蒸し暑さに喉が渇き、キッチンに行って適当にコップを取り出すと、水道の水を一口飲んだ。


薄暗く静けさに満ちた空間に、蛇口をひねる音が鮮明に響く。


酷く冷たい空虚な響き――。


俺には拒絶するような哀しい音に聞こえたんだ。


何だか俺みたいに思えて、声にもならない弱々しい笑いがもれれば、体の力が抜けていく。


シンクには項垂れた俺の影が揺れていた。


すると、微かな足音が聞こえてきた。