〈離婚して心機一転!メアド変えました〉
工場の仕事を辞めてから何となく疎遠になっていた舞から突然のメールと突然の内容に少々驚いた。
〈びっくりしたよ…。何てゆーか、大丈夫?今も工場で働いてんの?〉
〈へーきへーき。キレイさっぱりよ。まだ工場に居るよ。美夢はどうよ?〉
質問攻めの私のメールに10分程で返事が来た。
〈まぁ、あたしも変わらずよ〉
〈今度久しぶりに逢わない?〉
〈いいよ。逢おう〉
具体的な日にちを決めて逢う事にした。友達と逢うの本当に久しぶりだな…。と言うか私に友達って居たんだな。舞位だけど。
多田と山川は、もうこの店の住人だ。私が30歳になっても。他にも私を気に入り指名する客は要るけれど、私が出勤する日には必ずと言っていい程居る。2人同時にお守りをするのは、その内慣れると思っていたけれど、2人の言動やアフター、それに身体に触る行為がエスカレートする一方でストレスが溜まるのが比例し、私の煙草と酒の量も増えた。取り敢えず死なない程度にゼリー飲料を主食にしている。10代の頃、自分が30歳になった頃を想像していたけれど、多分老けてはいないと思う。くたばる寸前かもしれないけれど、栄養が行き渡っていないカサカサの皮膚の為にスキンケアに力を入れているから。仕事を辞めたいけれど、酒も煙草も高い化粧品に、金をかけられなくなってしまう。数年前よりも体重が減った為ドレスは7号サイズを揃え出費も嵩む。金イコールオヤジ達の、お守りだ。
「美優、食べな。ほら」
多田が注文したピザを私に差し出して来る。
それだけで吐き気がする。
「多田さんが頼んだんだから多田さんが食べなよ?」
「ガリガリの美優ちゃんの為に頼んだの。どっかカラダ悪いんじゃないのか?」
「いたって健康でーす。油断すると、すぐ痩せちゃう体質なだけだよ?」
「それにしたって年々痩せるよ?夏の浴衣イベントん時なんかカラダのラインがやばかったし。カラダぺらっぺらやん」
「すけべっ!」
パチン!と多田の肩を叩く。
「いいから、一口食べなっ」
多田がピザを取り私の口元へ運んで来た。
「う"~」
逃げられない。冷や汗が出る。さっきゼリー飲料を飲んだから、もう胃に物を入れたくないのに。しかし断ったら印象が悪くなってしまう。