上下黒のスエットに着替えて、自分の部屋に入り、テレビとゲームのスイッチを押す。テレビの隣に有るドリンク用の小さな冷蔵庫を開け、医者に処方された2種類の頓服をビールと一緒に飲む。気休めなのかは分からないけれど、少し気持ちが落ち着く。仕事を終えてから、これが毎晩の日課になっている。頓服は本当は1度につき1錠までと言われているが、気分によって2錠とか時には10錠飲んだりする。2種類渡されているが、同時に飲んで良いのか聞くのを忘れたから自分でブレンドして飲んでいる。最近のクスリは何万錠と飲まないと死ねないと、ネットか何かに書いてあったから大丈夫だろう。私はクスリを手放せなくなった事に矛盾を感じている。アンドロイドがクスリを必要としている事に。仕事場では絶対にクスリは飲まない。異常者扱いされるのが想像出来るし、仕事をクビにされる。クスリを飲めない、馬鹿な人間を相手にする、美優を演じる事にストレス感じている。吐く事は許して欲しい。吐く為に酒を飲む仕事を選んだし、でなければ仕事を続けられない。酒に弱いから吐くと言う、嘘の言い訳も出来ないし、冷蔵庫もゲームも買えなかった。