「これ使って。」 俯いて泣いている私に舜一君が何かを差し出した。 涙で視界がにじんで何かわからない。 「本当はハンカチとか差し出せたらいいんだけど、 今浴衣だから持ってなくて・・・ さっき駅前でもらったポケットティッシュでごめんな。」 塾の勧誘のポケットティッシュ。 夢に向かってGOってアイドルのA君が拳を空に突き上げている。 何気に私A君のファンだし・・・ それに舜一君がくれたものだから、 大切にしよう。 そう思った。 「ありがとう。」 。