ほんの数十分目を閉じていただけと思ったが、目覚めたのは翌朝だった。
いや、もしかしたら本当に数十分だったのかもしれない。
私は昨日の事を思い出してみた。
浮気現場を目撃し、運命の選択をする前にセーブしたはず。
PC画面は“セーブ”の項目が無くなっているから間違えない。
「…えっと…選択したのは…“彼を問いただす”。」
残された時間はあと2日間。
私は制服に着替えて、少し早めに家を出た。
…彼を問いただす為に…
昨日と同じ場所に彼は居た。
やはり様子がおかしかった。
だがそんな事は関係無い。
「おはよう!」
「ああ…おはよう、ミチ」
しばらく黙って歩いていたが、私は「昨日ね」と口を開いた。
「昨日…私見ちゃったの。」
「…な、何を?」
「学校の空き教室…。一緒に居たのってバスケ部の女よね?」
彼はこの涼しい時期におかしいほど汗をかいていて、必死に動揺を隠そうとしていた。

