『ポーン。暫く、道なりです』


「ずっとこのガタガタ道が続くのかしら……」


ナビの案内に、文恵は少し表情を曇らせながら呟く。車には強い方ではないので、こういう道が続くとなると心配なのだろう。


「窓を開けて風に当たるといい。森林浴みたいな物だ」


「そうね。お喋りも沢山して気を紛らせなきゃ。じゃあ私達の昔話でもする?」


そう言って考えを巡らせ始めた彼女を横目で見て、フッと笑みが零れた時だった。