誠-巡る時、幕末の鐘-




「所詮人間は誰かと自分を優劣の秤にかけ、優勢に立つことを喜びとする生き物。それは遥か昔からの人間の性」




刀を幹に立て掛け、まるで手品のように次々と雷でできた蝶を作っていく。


それらは下に降りることはせず、奏の周りをひらりひらりと飛び回っている。




「…………それは人間だけじゃない。俺達、妖もだ」




黙って聞いていた鷹は何かを思い出すように言葉を絞りだした。


その表情は苦悶に歪められている。




「確かに妖の方がそういう性は強い。しかし、同時に悟ってもいる。……元老院には逆らえないと。だが、人間は違う。この男達のように反旗を翻す者が必ずいる。大義名分を見つけてな」




奏は見た目普通の人間のようだが、正体は紛れもなく悠久の時を生きた鬼。


それ故に、あからさまに言葉の節々に人間に対する嫌悪感が滲みでていた。