一瞬の間を大事とする居合いの達人の斎藤でさえ、かろうじてである。


平隊士は全く理解できない速さだった。




「酷いな、みんな。僕が負けるのがそんなに驚くこと?」




実際に相手をしていて、今まさに奏に負けたはずの沖田だけは飄々としていた。




『あぁ(はい)』




みんな一様に頷いた。




「昨日あれだけやって決着つかなくて、実は許可証なんてものがあって実力出してませんでしたって言ったら実力…本気はあれ以上って事でしょ?」


「……確かにな」


「本っ当面白い子だよね、奏ちゃんは。……僕好きだなぁ、ああいう子」




沖田はまるで新しい遊び道具を見つけた子供のように笑った。


最後の一言は、誰にも聞こえない程度に呟いて。