「まだ駄目。もう少し付き合ってよ」
沖田もこれから来るであろう攻撃に備えて、木刀を構えた。
「お断りします」
「そんな事言わないで…さ!!」
逆に沖田が仕掛けに行った。
その沖田の木刀が奏を捕え、誰もが沖田の勝ちを確信した時…。
クルッ
「……え?」
「…終わり、ですね」
奏が体を一瞬で翻し、逆に木刀を沖田の首元にあてがった。
この一連の動作は、剣の道に秀でた者にしか分からないほど一瞬の間に行われた。
たった一瞬で奏の勝ちが決まってしまったのだ。
「……あ〜あ。僕の負けかぁ」
「でも筋は良かったですよ。普通の人間なら最初の数太刀で終わっています」
「本当に?」
「えぇ」
奏は乱れた髪を直しながら答えた。
沖田は嬉しそうだ。



