誠-巡る時、幕末の鐘-




ニャア〜




「………猫か」




奏が足元を見ると、桜花が戯れていた。


抱き上げると嬉しそうに腕の中で大人しく丸まった。




「その猫は桜花だよ。奏ちゃんがとっても可愛がってた」


「桜花??」


「ニ〜ッ」


「そうか。……私によく懐いてるな」


「うん。一番一緒にいるからじゃない??奏、寝る時いつも抱いて寝てたから」


「へぇ」




奏が体を撫でてやると、桜花は気持ちよさそうに目を細めた。


しまいには、あくびをかいて寝てしまった。




「寝たか。温かいな」


「安心しきってるね」


「ひとまず戻ろう。桜花が風邪をひく」


「猫も風邪ってひくっけ??」


「知らないよ。僕に聞かないでくれない??」


「長い時間を生きた君なら知ってて当然だと思って」




奏はまた言い争いを始めた二人を置いて、一人屯所へとゆっくり戻った。


行きにはなかった温かいぬくもりと、近藤達への見方を持って。