誠-巡る時、幕末の鐘-




「奏ちゃん??……あ、近藤さん達だ」


「澪ちゃんも一緒だし。行くでしょ??」




二人は奏が急に立ち止まったことに言い争うのをやめ、視線の先を見た。


そして納得し、足を進めようとしたが…。




「…………いや、いい」


「いいって…。近藤さん探しに来たんでしょ??」


「丁度美味しそうなの食べてるし、僕達も……」


「私はいい」




そう言って、奏は甘味処とは逆の方向へ歩き始めた。


普段ならば、一目散に駆け寄って同じものを注文しているはずだ。


二人は奏の後を追いかけた。




「どうしたの??奏ちゃんらしくないね」


「………私らしい??ではお前達の言う私らしさとは何だ??」


「奏ちゃんは甘い物が大好きで、仲間想い。たまに両極端に突っ走るけどね」


「一人で何でも背負い込んで、ちゃんと見ておかないと何でも一人で勝手に決めるんだ」




奏の真剣な表情に、二人も真面目な顔つきになる。




伊達に見てきたわけじゃない。


そして…………。




……想いを…伝えたわけじゃ…ないんだよ??