誠-巡る時、幕末の鐘-




奏はなかなか終わらない二人のやりとりに辟易し、辺りに記憶を戻すきっかけがないか見回し始めた。


すると向こうの方で聞き慣れた声がした。




「かなで、また、もどってくるかなぁ??」


「大丈夫。彼女はきっと戻ってきてくれます。私達は仲間ですから」


「あぁ。山南さんの言う通りだ。ほぅら、この餡蜜おいしいだろう??総司達には内緒だぞ??」


「うん!!わたし、こんどうさんと、さんなんさん。だいすき!!」


「そうですか。ありがとうございます」


「あっはっは!!そうか、そうか!!」


「おや??でも、土方君よりもですか??」


「とし、このごろ、ちょっとこわい」


「トシの奴………ぷっ。悲しむだろうなぁ!!」




ふとそちらに目をやると、甘味処の店先の椅子に座っている近藤に山南、澪ちゃんの姿があった。


奏は足を止めた。