誠-巡る時、幕末の鐘-




「奏、閣議って??」


「元老院のこと、どこまで知っている??」




奏は質問を質問で返した。


本当に記憶がないので、彼らにどの程度話していいのかが分からない。




「元老院の課長達は知ってるぜ??」


「カミーユだろ??セレイルだろ??レオンだろ??」


「あぁ、分かった。もういい。閣議というのはその課長達と副官で行われる会議だ」


「へぇ〜。じゃあ、奏ちゃん、ここにいてくれるんだ??」


「奏、どうせなら爺の所にしようよ」




沖田と珠樹が奏の方へ体を近付けた。


すると、ピシッと奏の体に衝撃が走った。




「おい、近づくな。体がお前達は危険だと言っている」


「え〜。そんなことないよ??」




沖田と珠樹はある事が分かって、満足げに口の端をあげた。


奏が二人にだけ異様に警戒しているのは、おそらく……。


記憶は完全に失われたわけじゃない。


心の奥深くに閉じ込められただけ。


だったらその心を大きく、前より激しく揺さ振ればいい。


二人の思考は仲良く重なっていた。


仲が良いなんて珠樹は絶対に認めないけども。