隊士達の顔に怯えと迷いが浮かんだのは気のせいだろうか。
いや、気のせいではない。
現に二、三歩後退りした者がいる。
「え……と、その……ですね」
それでも真面目なのか命知らずなのか、一人の男が冷や汗をだらだらとかきながら言葉を無理矢理口から出した。
「何答えやすい質問してるんですか? 俺に決まってるでしょう? 同じ立場なんだし……な?」
「何言ってるの? 僕に決まってるでしょ? ……ね?」
ニコッ(妖笑)
二人にある意味素晴らしい笑顔を向けられた隊士は、もう頭真っ白である。
他の隊士達はその隊士に大きな同情と僅かな尊敬の眼差しを送ってはいるが、誰も助けには入れない。
入らないんじゃなくて入れないのだ。
二人の笑顔が妖し過ぎて。



