「一君、響を頼んだよ」


「……行くのか??」


「うん」


「分かった。任せろ」




安心できる斎藤に響を預け、部屋を出ていった。




「俺、明日巡察だった!!もう先帰るわ!!」


「そんなヨロヨロ歩きになるまで酔って……。私が送りますよ」




原田と山南が、奏の後を追うようにして出ていった。




これから起こることを知っている者は、数おれど。


知らぬ者は数少ない。


ここにも少女が一人。


静かに寝息をたてて眠っている。


どうか、夢の中だけは。


いい夢が見られていますようにと。


願わずにはいられなかった。