「……帰るのが早かったか。私の失態だ。爺には私から謝っておくよ」




奏が響の体を地面に倒れる前に受けとめた。


奏と珠樹は今日屯所で起こることを知っていた。


だから響を屯所から連れ出した。


この事を知らせないためにも。


だが、響は知ってしまった。




「珠樹??まだ手、駄目??」


「うん、駄目。まだもうしばらくこうしてて」




千早の目は珠樹が素早く隠していた。




「誰か響を部屋まで運んでくれる??」


「俺が運んでやるよ」




原田が名乗りをあげた。


軽々と響を抱き上げ、部屋まで運んでいった。