「兄様、嘘よね。紫翠達が嘘つきになっちゃっただけよ」 奏は一人、ずっと待っていた。 紫翠達は奏が落とした雷によって、たとえ鬼であろうともすぐには動けない。 奏はこれが夢ならば早く覚めてしまえと、目をギュッと瞑った。 だが、何も変わらなかった。 ……まだ、彼方は来ない。 辺りは朝になろうとしていた。