「なぁ、あいつは?」
「元老院第四課副官、ミリアルド様だ」
第四課課長の甥であり、双子の兄と一緒に叔父を支えるべく、副官をしている。
頭ごなしになりやすいが、人の感情の機微に敏感で、裁判を扱う第四課では優秀な人材の一人だ。
ただ、第三課長と叔父の喧嘩によく仲裁に入らなければいけないという命懸けの仕事も担わされている。
ただ一つの弱みが、想い人である春華だ。
彼女の前では、優秀な彼も、ただの恋する一人の男になる。
ただ哀れなことに彼女の方はまったく気持ちに気付いていない。
完璧なまでの片思いだ。
「すげぇ」
「あぁ。奏の主を侮辱してんのに…怒ってねぇ」
藤堂と永倉の言葉に首を傾げる奏。
「?ミリアルド様はミエ様を侮辱なんかしていない。あの方が本気で誰かを侮辱する時は相手を相手として扱わない」
記憶を掘り起こしているのか、遠い目になった。



