「そう。この男が嫌いで…なわけあるか!!黙ってろ、まったく」




正解かと思いきや、凄い勢いで藤堂の頭をはたいた。


奏は咳払いをして気を取り直した。




「それはな。こいつらが私と同じ者だからだ」


『……は?』




土方達は奏の言う意味が掴めなかったようだ。




「態度がでかいってこと?」


「しばくぞ、コラ。……いい加減正体さらしたらどうだ?」




沖田の言葉に素早く反応しつつ、刀を抜いた。




「もうばれたのか」


「ほら。だから言わんこっちゃない。すぐにばれるに決まってるだろ」


「元はと言えばお前が言い出したんだろうが。俺は何故こそこそ隠れるように奏に会いに行かなければならんと言ったはずだ」


「急に来てただ会いに来たって言ったって信じるはずないだろうが」




二人の姿が少し揺れた。


そして次の瞬間、奏にとっては会いたくもない輩(ヤカラ)が現れていた。


風戸の当主、風戸紫翠とその側近、鈴だった。