「迅…覚えてる?」 もちろん迅からの返事はない。 でもあたしには分かる。 今隣に―――迅が立っている。 あたしと同じ……懐かしそうにこの木を見ている。 「ここがあたしたちの始まりだよね。あの頃はお互い荒れまくってて、初対面なのにケンカして……。でもいつの間にか一緒にいて気づけば女龍があった。 どれも大事な思い出だよ……」 あたしと迅の始まりの場所。 だからあたしはここにきた。 迅に伝えるために…――。