その蝋燭の灯りで浮かび上がっているのは、壁に寄りかかって寝ている土方だった。
(あ。私が布団使っていたから…。)
なんとなく申し訳ない気持ちになり、土方に布団をかけてあげた。
その際、少しだけ傷が痛んだが、大分痛みが和らいだことにホットした。
しかしー、
「目が、覚めたかのぅ。楓。」
「――――っ!」
いきなり声をかけられ、心臓が跳ね上がる。
土方の声ではない、しかし聞いたことのある声。
いや、懐かしくて暖かいこの声は
「なんだ、我の声も忘れたか?」
「おとー…さん…?」
先ほどまで夢に出ていた、父親―――克だった。



