楓は子供ながらに、父親の凄さを理解していた。 楓も、彼の演技に魅了された一人。 楓の母親は、既に他界しており、父親が唯一の肉親。 つまりは、克の努力を一番近くで見ており、人間離れの才能とはこういうものか、と楓は知った。 ******* (だから私は……。) ――自分を天才とは思わない。 うっすらと開けた視界。 目は開いているはずだが、あたりはもう暗い。 どうやらもう夜のようだ。 キョロキョロと周りを見ると、蝋燭の灯りが視界に入った。