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俺達は四国屋に向かっていた。
「なぁ土方さん。…最近、嬢ちゃんに少し元気ないよな。」
そう言ってきた原田に、頷いて返す。
その時、
「土方!……ぅっ!」
楓の親父さんが走ってきたが、
どうやら、くわえていたものを落としたらしく、拾うのに苦戦していた。
なので、俺は親父さんに近づいて、落としたものを拾った。
「札?…百人一首のか?」
「ん?それ、俺が嬢ちゃんにあげたやつだな。」
二枚の札に、上の句、下の句が書いてあり、
裏にはその詩の意味が書いてあった。
君がため 惜しからざりし 命さへ
長くもがなと 思ひけるかな
「その詩は…、楓の気持ちそのものなのだろう。先に言う。本命は池田屋じゃ。」
親父さんが言った言葉に、俺らは吃驚する。
「そして…、楓の命は――おそらく、今日までじゃ。…土方。」
「どういう…意味だよ。」
意味が分からない。
楓の命が今日まで?
「説明は、あとでする。楓を、助けてはくれんかの。バカ娘は、今夜の戦いで死ぬ気でおる。」
その言葉を聞いて
俺は走り出した。
君がため 惜しからざりし 命さへ
長くもがなと 思ひけるかな
(あなたにお会いするためには死んでも惜しくないとおもっていた私の命までが、お会いした今は、いつまでも長く続いてほしいと思ったことです)



