軽業師は新撰組隊士!



―――――――…


温かい。

その温もりの正体が知りたくて、意識を眠りの底から上げて、目を開ける。


「土方さん…。」


楓はヘニャリと、安心しきった子供のように笑う。

あぁ、
この人は本当に温かい。


しかし、ハタと自分の足が地についてないことに気付いて、ようやくお姫様抱っこをされていることが分かった。


「な、ななっ、ひ、土方さん、おろしてください!」


真っ赤になって手足をジタバタさせると、土方は楓をおろした。


そこでホッと息をついた楓だが


「―――っ!?」


あの温もりで全身を包まれた。

土方が楓を抱きしめたのだ。


「…、生きているな。」

「っえ?」

「生きて、息をして、動いてるな。」


体が密着しているせいで、土方の顔が見えない。


でも、声が震えている。