重たい口を開いて、沖田は話し出す。
「僕、楓から聞きました。克さん、貴方から寿命をもらった、と。それに、その寿命は…」
「よい、それ以上先は言うな。……そう、我が楓に寿命を分け与えた。」
土方は楓をジッと見つめる。
一回、死んだ。
今、自分の腕の中で、息をして、心臓を動かして、生きている楓が。
「誰でも生き返れるわけではないぞ。我は神に運命を歪められ、そして、家族である楓の運命も歪んだ。だからこそじゃ。」
克が語る話は現実離れしすぎて、逆に現実味を帯びていた。
「そして…生き返ってもあの時代は楓には辛い。じゃから、我が連れてきた。我らが生きていた時代の150年前に。」
150年後の未来から、この時代に来た楓と克。
本当ならこの時代にいないはずの存在。
でも確かにいる。
「……、ん。」
楓が身じろぎをする。
そして瞼がうっすらと開いた。



