克はそれを聞いて、安堵し、そして口を開く。
「…さて、話すとするかの。楓のことを。」
“どうして未来からきたのかを”
その言葉に、みんなは一気に気を引き締める。
「本当だったんですね。……是非、訊きたいです。」
沖田が克にそう言うと、克は語る。
「始まりは楓が五歳のとき――――我が死んだ。」
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妻の加恵(カエ)は楓を産んで、すぐに先立ってしまった。
我にとって、楓は愛しい娘であり、加恵の形見じゃった。
―――この子だけは。
この子だけは守ろうと、母親の顔を覚えてない楓の小さい身体を抱きしめ、誓ったのは今でも思い出せる。
しかし
我は死んだ。
世界そのものを統べる“絶対”。
いわゆる“神”と呼ばれるものの間違いでな。



