楓に何もなかったことに安堵と、少し呆れも入り混じったため息を吐く。
「なんでまた急に寝るんだ…。」
独り言のつもりで言った土方だが
「眠かったんじゃろ。夜も遅いからの。楓は眠いと怒りやすい。」
克が返事をした。
なるほど、と土方は納得し、頷く。
土方は寝ている楓を姫抱きにして抱えた。
「ひゅーひゅー。憎いねこの女誑し。」
「藤堂、お前は本当に黙れ。」
いつの間にか正座をやめていたみんなが、土方と楓を生暖かい目で見ていた。
「ごほんっ…。」
咳払いをする克。
「…親父さん。」
「別に土方なら良い。我は二人の気持ちは察しとるつもりじゃ。」
「あぁ。」
「ただ、我の前であまりイチャイチャするでないぞ。」
眉間に皺を寄せて、少し悲しいのを隠して、強気で土方に楓を託そうとする克に
「あぁ。」
土方はいつもどおりに、しかし決意をした目で、しっかり克に返事をした。



