楓は呆然としていたが、
土方と克は鋭い眼光で鬼一を睨みつける。


すると


「あーあ、バレちゃいましたか。結果うまくやってたつもりだったんですが。」


観念した、というより、開き直ったかのように鬼一は喋った。


「柴田は異国のことに詳しいから、本当は俺らと同じなんじゃないかとおもったんだが…。」

「……俺“ら”?」


楓が首を傾げながら聞くと


「土佐藩の…坂本竜馬。」

「―――――あ。」


楓はそう言われて思い出す。

鬼一と握手した際に
『土佐訛りのくせに異国に詳しい』人に教えてもらった、と言っていたのを。


「…まぁ、お前は違ったらしいな。」


参ったな、というように微笑む鬼一に、全く違う笑みで返す楓。


「そうですね。私はあなた達と同じではありません。此処の人達を…裏切る気なんて、微塵もないです。」