楓は、自分を引きずる沖田を見た。
「総司さん…、コレって一体…。」
すると、沖田は楓の耳元で、他の人達には聞こえないように話す。
「楓、今の隊士たちは、あなたに不信感を抱いています。なぜなら――」
「―――え?」
楓は自分の耳を疑った。
沖田が言ったのは
―――なぜなら、あなたが反幕府の間者という噂があるからです。
ということだった。
間者とは、敵の動向を探るために敵の懐へと入る、いわゆるスパイ。
「なんで…。」
「とりあえず、今の現状をあなたに見せるために連れてきました。」
「…っ、はい…。」
「でもただ道場に来るだけじゃつまんないですよね。」
「……え?」
小声じゃなくなった沖田の言葉に、楓は顔をひきつらせる。
「試合、しましょう?」
「い、嫌ですーっ!」



