これは苦情もくるはずだ、とため息をつく楓。
とにかく、味噌汁に入れるための豆腐を切ろうと、手のひらに豆腐をのせ、包丁をいれようとすると
「――おいっ!」
「ぅえっ!?は、はいっ!」
土方に包丁を持った手をつかまれた。
「あの、土方さん。どうかしました?」
「お前なぁっ、手ぇ切ったらどうすんだよ!?」
「え!?いや、大丈夫ですって。」
心配してくれたらしいが、ちょっと過保護だなぁ、と苦笑した。
とにかく、大丈夫だと説き伏せ、調理を進める。
「あ、原田さん、その野菜をもう少し、細かく切ってください。」
「おう。」
「永倉さんは、その鍋に味醂と醤油をいれてください。」
「あ、うん。」
「土方さんは、その豆腐を冷水で冷やしてください。」
「…あぁ。」
さっきまでは酷い状態だったが、楓が仕切り始めると、案外きちんと調理が進んだ。



