「……、ん。」
楓は目を覚まして、上半身を起こす。
(何…してたんだっけ。私…)
「起きたか?」
目覚めたばかりでボーっとしていた楓だが、土方の声が聞こえてはっとする。
(そうか、私…土方さんの胸で泣き疲れて、寝ちゃっ、…た……、って。)
思い出すと、顔が赤くなる。
(わ、私…何をっ。ぁあぁぁあ…恥ずかしい)
泣き疲れて寝てしまうなんて、子供みたいなことを…、しかも土方の胸で。
「…どうした。」
「い、いえっ。なんでもありません!」
赤い顔を両手で覆い隠しながら首を横に振る楓を怪訝そうな表情で見る土方。
そんな変な空気の中
――…バタバタ、…バアン!
「土方さん、嬢ちゃん!」
「飯、今日俺らの班なの忘れてたんだ!柴ちゃん、手伝ってくれない?」
慌ただしく襖を開けて、原田と永倉が入ってきた。



