「い、今ですか!?」


楓がビックリしながら言うと、永倉は慌てて言う。


「違う違う!夕飯とか…そういうのだ!」


永倉が言うには、新撰組は三人一組の交代交代でご飯を作るらしい。

それに、言うまでもなく新撰組は男ばかり。

だから大ざっぱな、いわゆる“男料理”というものばかりだと、永倉は言う。


「それにな…、」


「はい…。」


永倉は、人差し指を立て、今からとても重要なことを言うかのように話し出す。


「副長、左之、それから俺の班が作る飯は……はっきり言って不味い。」


「……はい?」


「いや、だから、全部の飯を作ってくれってわけじゃなくて、俺らの班に加わってくれねぇ?」


「あ、はい。かまいませんけど…。」


それだけで良いんですか?と楓が言うと、永倉は楓の手をガシッと握り、


「良かったぁ…!今までさ、俺の作る飯は不味いとか文句ばっかり言われてたんだ!」


「は、はぁ…。」


「なんか文句言われるの俺だけでさぁ!」


アハハ、と楓は乾いた笑いを漏らす。

原田は強面だし、土方に反論できるとは思わなかったから、全ての苦情の矛先が永倉に向いたのだろう。