「馬鹿だー。」



「うっせー。


 浮かれてたんだよ。」



「浮かれすぎだから。」



レンは笑いが止まらなかった。




電車が目的の駅に止まった。


電車の中で、早まって


すでに膨らましてしまった


浮輪と、スイカのビーチボール


と、おやつで場所を取ってしまった、


バッグ。




それを器用に抱えながら


電車を降りた。





レンの体よりも遥かに


荷物の方が大きかった。



「お前、馬鹿だろ。」




ひょい、っとレンの


荷物の重みが消える。



キョウヘイが


荷物を持ってくれたのだ。




「泳げない人に馬鹿よばわり

 されたくありませーん。」