でも、明日で別れるのに?
明日別れても、井口はこのシャーペンを使ってくれる?
――使ってくれているのを見て、私は冷静でいられる?

8時ちょっと前まで考えて、結局、シャーペンの包みは引き出しの中にしまった。
待ち合わせは午後1時だし、それまでに別のプレゼントを用意すればいい。そうだ、消耗品なんかがいいんじゃないかな、タオルとか、何かそういう……

いくつあっても困らないもの。
シンプルで、記憶にあまり残らないようなものを。

そこに行きついて、ちょっとさみしくなった。
胸の奥がじんじんしたけど、気付かないふりをした。

今日は、井口の誕生日。
にこにこ笑って、楽しく、過ごそう。

それが、一週間私に付き合ってくれた井口への、せめてものお礼。