生憎生まれてこのかたそんなこと言われたことなんて一度だってないし、そもそも、そんなにモテる方でもない。
この人、相当変わってる…。
まずあたしに「ファンだ」という時点で有り得ない。それ以上にこのシチュエーションが有り得ない。
こんなトレンディドラマのような状況、平成のこの時代に有り得るわけがない。
有り得るわけがないはずなのに。



それなのにあたしは、気付いたら先輩と赤外線通信をしていました。





名前を、“雅樹(まさき)”先輩と言う。








行け行け押せ押せで、雅樹先輩からはあれから毎日メールが来た。
メールし始めた初日に、雅樹先輩は2ヶ月前にウチの高校に転校してきたこと、それからすぐあたしを見掛けて一目惚れ(この言葉を自分で遣うのは非常に痒い)したこと、できたばかりの友達に名前と学年とクラスを調べて貰ったことを教えて貰った。
ついでに、その友達らに煽られてうっかりちゃっかりあたしに声をかけてしまったことも。