暗い話を一気にふっかけられた晋は、びっくりした表情で私を見た。

その後、すぐに晋は長い睫毛を伏せて、口を開いた。


「俺だって。明るい方じゃないし、友達は少ないし、女の子からしたらつまんない奴だと思う。だから、真澄先輩みたいに話題豊富で友達多くて明るい人と、釣り合わないんじゃないかって…不安になるよ」

「そんなことない!」


私はそれ以上晋の言葉を聞いていられなくて、晋の言葉を遮った。
すると、表情を変え、にっこりと私に微笑みかけた晋。


「じゃ、俺も『そんなことない』。真澄先輩、女の子の魅力は外見だけで決まらないよ」


晋が、私の手をぎゅっと握る。
男の子の手は、想像していた以上に熱い。
「その後輩のこと何も知らないのに、ごちゃごちゃ悩む必要ないんじゃないの?」――晴香の言葉が頭に蘇る。
私は晋を“なんとなく”で付き合い始めた。
こんなにいい男だったと知らずに。
年下の癖に、私なんかよりずっとずっと大人なんだ…。
デートが映画館で良かったと思う。
館内は真っ暗だ。
今の私はもう涙腺崩壊寸前で、とても晋に見せられるような顔じゃないから。






END.