半月振りに部室に顔を出した晋に、帰り際に呼び止められて告白された。
その時になって、やっと初めてまともに顔を見た。
で、私は気付いた。晋は、まあまあの美人さんだということに。
大人しいから目立たないだけで、言わば掘り出し物。
不健康そうな細々した体つきに、女の子みたいな繊細な顔立ち。
体だけ差っ引けば、ジャニーズ系のような関じ。
そんな美形後輩が、私のどこが好きだと思ったのか分からなくて、告白の返答が「何で?」という疑問文だった。


『ま、真澄先輩は、頭が良くて放送部の中でも、あ、明るくて…なんか、え、ええと…』


吃りながら言葉を詰まらせる晋に、私はますます不思議に思った。
今目の前にいるこの後輩が自分のことを好きだなんて、これっぽっちも実感がない。
私より可愛い子は、この学校にはいっぱいいる。
私は、人より少しばかりぽっちゃりしてるかなっていう自覚はあるけど、ブスという訳じゃないと思う。
だけど、敢えて私を好きになったことが不思議で不思議で仕方ない。
それでも、一度保留にして家に帰ってみたら、途端に晋のことが忘れられなくなって。
何度も思うけれど、晋は地味だがイケメン。
そんなイケメンが、私を好きだと言ってくれている。
次第に高揚する気持ちは、止められなかった。
好きになられて好きになるなんて、我ながら単純すぎる…。