当たらない天気予報

高校生の買うものなんて、大概が食べ物。
あ、でもジャンプは買うかな。一冊買って、クラスで回し読み。
俺と湊は二人共、バニラのカップアイスを選んだ。
こういうさりげないお揃いって、結構好きだ。
コンビニから出て、二つ分のアイスが入ったビニール袋を、湊が自転車のブレーキに引っ掛ける。


「それじゃあ、湊、食いながら歩けないだろ」

「ん、確かに…」

「野球部がまだ練習してるから、もう暫く校門閉めないだろうし、学校戻って食うか」

「そうだね」


湊を促し、来た道を戻る。
もう辺りはすっかり暗くて、生徒なんて学校付近には殆ど残っていない。
帰路につくサッカー部の連中とすれ違う。


「お、一紀と湊じゃん。帰らねぇの?」


同じサッカー部で、湊と同じクラスの相馬(そうま)が、校舎に向かう俺達に気付いた。


「うん、一紀とアイス食ってから帰る」


湊がコンビニの袋を、相馬に突き出して見せた。


「お前ら、本当仲良しだよなあ」


相馬はそう言って笑い、「お疲れ」と手を振って駅へと歩いていった。
俺達が本当に“仲良し”というレベルで済まされる仲なのか、それを知っている人間はいない。






湊は駐輪場に自転車を停め直し、校舎裏へと向かう。