一万円札は3枚とも、きれいな新札だ。
今日のギャラだろうか。
「受け取れないよ、恵美さん。だって、こないだも俺にお小遣くれたじゃんか。それに…」
「それに?」
「俺、恵美さんのお金で彼女のプレゼント買うことになるんだよ?恵美さんは嫌じゃないの?」
俺が恵美の膝の上に3万円を押し付ける。
本当は分かってる。恵美は俺に彼女がいようといまいと、微塵も気にしないということ。
恵美は快楽主義だから、自分がその時楽しくていい気分になれればそれでいいんだ。
それに、恵美だって俺と遊びながらちゃっかり本命の彼氏がいる。
恵美はぷっくりと形のいい唇を上げた。
「…可愛いわね、孝文は。本当に可愛い…」
石鹸と香水の入り混じった匂いと共に、恵美が俺に擦り寄ってきた。
「孝文のそういう純なところ、好き」
恵美が僕の唇を舐めるようにキスをした。再び、俺にお金を握らせながら。
こんな俺を本当に恵美は「純だ」と思っているのだろうか。
小生意気な高校生の演技に気付いていないのか…いや、気付いていて騙されてくれているのか。
付き合っている彼女がいて、その彼女へのプレゼント代すら全額負担している。
この女は本当に馬鹿だ。馬鹿で、寂しい女。
「恵美さん…大好き」
ああ、後で母さんに塾に寄るってメールしなくちゃ。
俺は恵美の細い手を優しく握った。
晴れた日曜日は気持ちがいい。
大切な彼女の誕生日がこんな日曜日だなんて、素晴らしいったらありゃしない。
母親が些か不審がるほどご機嫌で家を出る。
待ち合わせの駅に着くと、翔子は既に改札を出たところに立っていた。
今日のギャラだろうか。
「受け取れないよ、恵美さん。だって、こないだも俺にお小遣くれたじゃんか。それに…」
「それに?」
「俺、恵美さんのお金で彼女のプレゼント買うことになるんだよ?恵美さんは嫌じゃないの?」
俺が恵美の膝の上に3万円を押し付ける。
本当は分かってる。恵美は俺に彼女がいようといまいと、微塵も気にしないということ。
恵美は快楽主義だから、自分がその時楽しくていい気分になれればそれでいいんだ。
それに、恵美だって俺と遊びながらちゃっかり本命の彼氏がいる。
恵美はぷっくりと形のいい唇を上げた。
「…可愛いわね、孝文は。本当に可愛い…」
石鹸と香水の入り混じった匂いと共に、恵美が俺に擦り寄ってきた。
「孝文のそういう純なところ、好き」
恵美が僕の唇を舐めるようにキスをした。再び、俺にお金を握らせながら。
こんな俺を本当に恵美は「純だ」と思っているのだろうか。
小生意気な高校生の演技に気付いていないのか…いや、気付いていて騙されてくれているのか。
付き合っている彼女がいて、その彼女へのプレゼント代すら全額負担している。
この女は本当に馬鹿だ。馬鹿で、寂しい女。
「恵美さん…大好き」
ああ、後で母さんに塾に寄るってメールしなくちゃ。
俺は恵美の細い手を優しく握った。
晴れた日曜日は気持ちがいい。
大切な彼女の誕生日がこんな日曜日だなんて、素晴らしいったらありゃしない。
母親が些か不審がるほどご機嫌で家を出る。
待ち合わせの駅に着くと、翔子は既に改札を出たところに立っていた。



