「おーっ、花梨!んなとこ突っ立ってねーで上がれば?」


……へっ!?


いつも通りのお気楽な声が、真後ろから聞こえてきた。


振り向けば、肩から腕にかけ、包帯をぐるぐる巻きにした桜太がいた。


「どうしたの、その包帯っ」


「あん?骨折だぜ、ダッセー!しかもこの真夏に!!蒸れるっつの」


「痛そう……」


「こんぐらいヘーキ。暑い方がオレはヤダね、ちくちょー」


ちくちょーって……。桜太は、かんだから笑ったのか、あたしに暗い顔を見せたくないのか、いつも以上に明るい気がした。


額に汗が流れてるのに、拭こうともせず話し続ける。