ゼロクエスト ~第2部 異なる者

ホール型ケーキの中心まで、ナイフを一本入れた状態。

その紋様は変わらず左腕にある。

一見、全く変わらないようにも見えるのだが、明らかにその位置が動いていた。

時計で例えるならば、今までは12時方向にその線は向いていた。

しかしルティナの腕にあるのは、3時方向。私と他の二人はその半分、1時半方向に動いている。

私が討伐隊へ参加する直前に、シャワー室で確認した時には間違いなく、12時方向のままだった。

それはルティナの話からでも確認が取れたことだ。

つまり移動したのは、モンスター・ミストの中へ入ってからということになる。

「だからその時の状況を、もっと詳しく訊きたい」

「もっと詳しくと言われても、昨日話した以上のことは何も…」

私は困ったように頭を掻いた。

昨日話したのはゼリューが消える直前、刻印のある箇所が急に痛み出したということだけだ。

私もその痛みに耐えるだけで必死だったし、実際に話せるのはそのくらいしかない。

「それに本当ならこの刻印のこと、後でゼリューに訊こうと思っていたのよね。
彼なら何か知っている感じだったし」

今更過ぎたことを後悔しても遅いが、私はつい愚痴をこぼしてしまう。