もし全てを話してしまったなら、私たちは必ず拘束され、最低でも数日間は強制的にこの場所への滞在を余儀なくされるだろう。

そして中の様子などをしつこく追求されるに違いないのだ。

考えるだけでも、ゲンナリしてしまう。

幸いにも『瘴霊の種』とゼリューの存在していた痕跡は、一欠片さえも残されてはいなかったようだ。

ギルドの現場検証で見つかったものは、辺りに散らばっていた魔物の死骸だけだったらしい。

もしかしたら種は全てあの時に砕けて、塵と化してしまったのかもしれない。

もっとも、もしそれらの痕跡が見つかったとしても「何も知らない」で通すつもりではあったのだが。

その後回復した他の3人は、昨日個別に尋問を受けていたようだ。

ルティナも私と同じように考えたらしく、余計なことは一切喋らなかったらしい。

しかし他の二人の尋問は、何故か途中で打ち切られてしまったという。

これは私の憶測であるが、エドはいつものように要領を得ない取り留めのない話を、アレックスは自己熱血陶酔話を、それぞれ延々としていたに違いない。

実は3人の尋問が行われていると聞いていた私は、居ても立っても居られず、その部屋の近くまで行ってみたのである。

そして彼らが外に出てきた時、一緒にいた騎士様たち二人の顔が、妙にゲッソリとやつれていたように見えたのだ。

そのせいかどうかは分からないが、今度はマクガレー団長自らが、全員まとめて尋問することになっていた。

だから今日こうして、皆ここに集められたのである。