その直ぐ脇では、ルティナが俯せで倒れていた。

動く気配はなかった。もしかしたらエドと同様に、気を失っているのかもしれない。

ここで私はハッと気が付き、自分の手を確認してみた。

思った通りだ。

私がゼリューにかけられた術は、まだ消えてはいない。だから私だけ意識もはっきりし、起き上がることもできたのだ。

『瘴霊の種』は、まだ残っている。何故かゼリューが消え、この場で動けるのは私だけ。

だとすれば。

私は近くに落ちていた短剣を拾うと、腰の鞘にしっかりと収めた。

ゆっくりと立ち上がる。途端、立ちくらみがしてよろけてしまう。

が、何とか地面に踏みとどまった。

それにまだ少し脱力感も残っている。気を抜くと倒れてしまいそうだ。

しかし今はそれどころではない。

このままでは、大変な事態になるかもしれないのだ。