けれどこれっぽっちの金で人の精神は支配できない。


そもそも金なんて甘っちょろいもので世界が変わる訳はないのだ。

それとも現実主義者の彼女なら、僕が望む世界を創り出すことも可能なのか。



「理想の世界を求める中で、僕はある考えに至った。

人を変えるぐらいなら、自分を変えた方が何倍も楽だとね」


「ほう…」

さっきはしゃべりたくもないと言っていたくせに、彼女は僕の話に応じてくれる。

これは悪い兆候ではないと考えてもいいはずだ。