「君にとって悪い話ではないはずだ」

「悪い話だらけだと思うがね」

「そうかい?僕を殺すだけでそれほどの金が手に入る」

「だが同時に、確実に警察に捕まる。人生を一秒たりとも無駄にはしたくないものでね。

だから今こうしてしゃべっている時間も惜しい。とりあえず私の視界から消えてくれないか」


歯に衣着せぬ物言いは嫌いじゃない。

むしろ気を遣わずにしゃべれるから気持ちいいぐらいだ。


「僕は僕にとって理想の世界を手に入れたい」

「…それが、どうしてこんな話に繋がった。貴様の家は金持ちなのだろう。これほどの金があれば理想の世界を手に入れることも過言ではないと思えるのだが」


僕だってそうしたかったんだよ。